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プロローグ
8畳程の西洋造りの部屋。
最低限の家具しか置かれていない。
その部屋の中で一際、小さい小屋が寂しく置いてあった。
中では今日の特訓で傷を負った部分をチロチロと舐めて癒しているデルビルがいた。
明日もまた恐ろしいの1日が始まるのだろう、そう思い体をぐったりと倒した時だった。
微かな足音が鳴るのが聞こえた。
まだ遠くの音だが、突然の出来事に一度、
疲れきった傷だらけの体を両方の前足で起こし、お座りの状態で耳を傾けた。
真夜中の暗がりで静まり返った館の中、徐々にこちらへと足音を大きくさせているのがわかった。
いつもの足音に比べ少し軽いような感じの音がするが、気にするところはそんなことではない。
足音に比例して自身の胸の鼓動が激しくなっていく。
次第に無意識に体が震え上がり、日々の恐怖が蘇る。
なんでこんな時間に人がくるんだ・・・!
なんでだよ・・・今日はもうおしまいじゃなかったのか!!
そんな心の嘆きを聞く者は誰もいない。
そして幾度と嘆いている間に足音は自分のいる部屋の前で止まったのだった。
もう何をされてもいいように身を丸くかがめ身体を守る体勢へと入った。
本来、いつもなら素直に小屋から出ていかないと、激しい剣幕で罵声を浴びせられながら固い棒状のもので立て続けに身を打たれることとなる。
だが、こんな真夜中に人間がこの部屋に来ることは滅多に無い、そのため
今までにない緊張と恐怖に押しつぶされ、とにかく身をかがめて、
この場をしのぎたい気持ちで一杯だった。
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