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空を見上げると、太陽がまぶしく世界を照らしていた。
俺は今、学院への道を友人と共に歩いている。
右隣にいるのは、燃えるような赤髪が特徴のレン・エルフィードだ。武芸者ランクは俺と同じGだが、その実力は明らかにその枠に収まるものではない。得物は双剣で、得意な魔術は火炎属性だ。身長はあまり高くなく、肩幅も狭く男子としてはちょっと華奢だが、武芸の腕はピカイチときている。ちなみに、俺は一度レンと試合をして気絶させられたこともある。
「そういや、今日はルキウスいないんだな」
隣を歩くレンにそう尋ねると、
「ああ。まだ寝ているんじゃないかな」
「おいおい、それ完全に遅刻じゃないか」
「いいさ。ボク達には関係ないからね」
そう一蹴すると、レンはふわあと大きな欠伸をした。
レンが無防備に欠伸をするなんて滅多に見た事がなかったので、俺は少し驚いてしまった。
「……はぁ」
そしてため息だ。
なんだか最近、レンの様子がおかしい。なんというか、そわそわしているというか。原因はよくわからないが、少しだけ心配になった。
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