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「疲れてるのか?」
「ボクがかい? うーん、別にそんなことはないと思うけど」
「なら悩み事とか」
「な、悩み!? ななないよあるわけないじゃないかっ。大体なんでそんなことをきくんだよ!」
「いやなに、最近レンの様子が少し変な気がしてさ。まあ、何もないんならそれでいいんだけどな」
「き、キミが原因なんだよ……」
「ん? なんか言ったか?」
レンの声が小さすぎて聞き取ることが出来なかった。
「いや、なんでもない」
そう言うと、レンはもう一度ため息をついた。
空はこんなに晴れているというのに、レンの心は晴れないようだ。
何か困っていることがあるのなら、助けになりたい。レンは大切な友達だし、これからもずっとそうでありたいからな。
しばらく歩くと、俺達が通うヴァナヘイム学院へ到着した。バカでかい正門をくぐり、自分たちの教室へ向かう。
ヴァナヘイム学院は一般教養と専門科目でクラスが分かれる。午前中は一般教養1組で授業を受け、午後からは武芸科Aクラスで授業を受けるようになっている。武芸科は他の専門科目とは違い若干人数が多いため、1クラス30人前後が5クラス存在する。それぞれA、B、C、D、Eと分かれており、俺とレンはその中のAクラスに所属している。
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