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何事もなく明日の試合を勝利できればそれが一番だ。なら、俺はそうするために準備をしておかないといけない。とりあえずは地図を全て頭に入れておく。これだけでも大分違うだろう。
「あの、それはなんですか?」
「ああ、これはだな……えっと」
明日の学内対抗戦のステージマップだと言おうとして、すんでのところで言い淀んだ。
アトにはまだ俺がチームエスぺランザに入ったことを伝えていない。それに、明日試合があると言ったら、またエリオと一緒に見に来るかもしれない。来るぶんにはいいのだが、また俺が怪我をしてアトを心配させてしまう恐れもある。だから言うのを躊躇ってしまった。
だけど、アトに言わずにいれるわけもないし、ここはちゃんと説明しておいた方がいいか。まあ、前回とは違ってポイント制だし、気絶なんかはしないだろう。
「実は俺、ミラがリーダーをしているチームに入ったんだ」
「チームですか? それなら、その地図みたいなのは……」
「ああ。明日の試合のステージのだよ。森のステージだからさ、フィールド全体を把握しておいた方が動きやすいかなって」
「おお! さすがはロアです! そういうことなら明日、アトは応援に行きます!」
「ありがとう。でも、来る時はエリオと一緒にだぞ。1人だと危ないからな」
神聖教会のこともあるし、そもそも女の子1人という時点で危険は一杯あるはずだ。エリオと一緒というのも多少は不安だが、まあいないよりはマシだろう。
「ハイ! さっそくエリオお兄ちゃんに明日お暇かどうかきいています!」
そう言うやいなや、アトは部屋から出ていった。
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