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「……ミラのことを死神と言い広めたことも、後悔してない」
私がそう呟くと、
「…………」
ギルはただ私の事を見つめているだけだった。
彼が何を思っているかはわからない。だけど、何を思っていたって関係ない。
全ては、お兄ちゃんの為に――。
―――――――●―――――――
【ノアSIDE】
観客席の一席で、私は眼下で繰り広げられている試合を見ていた。
今回の学内対抗戦のステージは森。だから、観客席からは見通しが良くない。一か所開けているところもあるが、そこで戦闘が行われているようには見えなかった。
時折スピーカーから聞こえてくる武芸科の先生の声と、闘技場内に設置されている巨大モニターで今現在のポイントを知ることは出来る。
ちなみに、どちらも未だ無得点だ。そこから察するに試合はまだ動いていないとみていいだろう。
「兄さん……」
いきなり試合と聞かされた時は驚いた。でも、ミラさん達のチームということもあって人間関係に問題はないはずだ。そこらへんは心配ない。
心配なのは今の兄さんがGランク程度の実力しかないということだ。
学内対抗戦に出場する生徒というのは、聞いた話によるとほとんどがDランク以上の生徒らしい。その中にGランクの兄さんが参加していると思うと気が気ではなくなってしまう。
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