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「大丈夫かな……」
私がそうこぼすと、隣に座っているセツナさんがこちらに顔を向けた。
「ロアさんは聡明な方です。どのような局面であっても、それに適した働きをすると思います」
「セツナさん……。そうですよね。きっと、大丈夫……」
兄さんはすごい人なんだ。例え力が制限されていたって問題ない。
試合は動きのないまま5分が経過した。時々ネメシス側の生徒が動いているのが確認できるが、エスぺランザの方は全く動きがない。
これも兄さんの策なんだろうか。
兄さんは力は制限されているけど、頭脳はされてない。だからきっと、そこを重点的に活用してくるはずだ。
「――ノアお姉ちゃん!」
「この声……アトちゃん?」
振り向くと、アトちゃんがこちらへやって来ていた。隣には第六男子寮の寮監、エリオさんもいる。
「アトも観戦しにきました! お隣いいですか?」
「もちろん」
私がそう答えると、アトちゃんは礼儀正しくお礼を言ってから椅子に腰かけた。
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