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オジカの身体が地面を滑走した。相当な速度で衝突したのだろう。通った跡に赤黒い血が撒き散らされている。
そして、救急車の方は、前面に血がこびりついている以外、外見は至って普通の救急車。凹みも傷も全くない、まるで新車のようだ。
「よっしゃぁ!!ヒィィィット!!」
運転席のドアが開き、中からショッキングピンクのヘルメット&全身スーツに身を包んだ女性が出てきた。その手は思いっ切りガッツポーズをしている。
市民が唖然とその光景をながめていると、次々と四台の不審な車がやってきた。
それらは一見普通の消防車やパトカー、霊柩車、パワーショベルだったが、色とスピードがなんかおかしかった。
「どどどどうしよう!なんか轢いちゃったよ!」
「・・・もしかして市民轢いたか?俺たちクビになっちまうぞ・・・」
「大丈夫だろ。そん時はバレないように埋めようぜ」
「ハハハ!心配ないよ!轢いたの怪人っぽいからさ!」
救急車とは逆の方向から来た四台は、あろうことか地面で悶えていた怪人を次々に轢きながら救急車に隣接して停った。
そして、それぞれの中から、赤、青、黒、黄色のヘルメット&全身スーツの人間が降りてきた。
先に到着していたピンクは、新たに来た四人に向き直り、スタスタと歩み寄る。
「なんで逆から来たの?」
「ハハハ!いやぁ、レッドがみんなに見られるのが恥ずかしいって違う道に入っちゃってね。ボク達全員ソッチについてっちゃったって訳さ」
「だって、みんな僕を見るんだよ!?恥ずかしいじゃないか!!」
「いやだって俺たち正義の味方だし。なんなら後で全員の記憶を消すか?ラリっちまうけど」
「あぁ・・・そうやって正義の味方の評判が堕ちちまうんだな・・・」
五人の全身スーツが集まって雑談をしていると、ダメージから回復した満身創痍の怪人が鉄パイプを杖にして立ち上がった。
「お・・・お前らは何者なんだ・・・!?」
折れているのか不格好になった指で五人を指した。
その呼び掛けを聞き、五人が横一列に並びポーズをとる。そして、イエローが高らかに叫んだ。
「現実戦隊、ゲドウジャー!」
「嘘つくな。リアレンジャーだろうが」
「もういいかな!?ポーズとるの恥ずかしいんだけど!!」
「どうでもいいから殺っちまおうよ。私の救急車早く洗いたいし」
「・・・あれ慰謝料請求されたりしないよな・・・?」
なんかどこまでもグダグダだった。
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