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力を失った右腕がずしんと地面に落ちる…
氷の剣も先の一撃で役目を終えたかの様に刃が折れ、次第に氷が溶け始めて元の斧に戻ると、その周りには小さな水溜まりだけが残る。
(やはり…奴を凍結させる程の魔力は残っていなかったか………)
遠くから複数の足音が聞こえてくる…
応援に来たハンター達が駆けつけて来たのだろう。
エステバンはもう首を動かすことすら出来ない。
そんな満身創痍の中、エステバンは意外な事を考えていた。
リーンのことだ。
(そういえばあの少年…何処かであった気が………)
エステバンの記憶が過去を巡る
(そうだ、確か一年程前にグリーンベルで……あの時は気弱そうな子供だったのに……一年で随分と変わるものだ…あの夕陽色の眼に強い意志が宿った様だ………眼?………)
刹那、エステバンの過去の記憶とリーンの存在が結びつく。
(そうか、あの瞳の色…それに鎧の赤い星)
「彼は、ジェイス殿の
ーーーどこまでも続く雲一つ無い青空
何処を観るわけでも無く、ただ一点を見つめる茶色の瞳。
その瞳はもう何も語らない。
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