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「リーン!大丈夫なの!一体何があったんだい!?」
村に入るなり騒然としている村人を掻き分けて、顔を真っ青にした母が背負われたリーンに駆け寄ってくる。
どうやら先ほどの古代竜の鳴き声が聞こえてきた時に村を飛び出そうとしたのを村人達に止められ、騒ぎになっていたらしい。
制止する村人を無理矢理振り払おうとしたのだろう、母の衣服はかなり乱れていた。
「心配かけてゴメン、実はーー」
リーンはこれまでの経緯を説明した。
「ーーそれで、この人に助けてもらったんだ」
「そう、本当に良かった…ありがとうございます、なんとお礼を言ってたらいいか…!」
母はリーンを背負った男に向き直ると深々と何度も頭を下げる。
「気になさらないで下さい。ハンターとして真っ当に務めただけです」
そう言って男はリーンを母に預けると、村からの謝礼も受け取らず一礼して去って行ったーー
その後ろ姿が完全に見えなくなるまで手を振って見送り続けるリーン。
「村を救ったってのに少しも鼻にかけないなんてな、ああいうのが本物の英雄ってのかねぇ」
感心しきりの村の男が呟いた言葉に、何故かリーンは誇らしい気持ちになった。
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