プロローグ

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朝の畑仕事は身体が鍛えられ、夜は酒場で簡単な調理や客との会話でハンターに必要な能力を身につけていくーー 慣れたら手伝いの時間を増やし、数も増やしていった。 そうして家に帰れば死んだ様に眠り、起きてまた畑へ向かう。 そんな生活を続けていると、1年はあっという間だった。 誕生日前日の夜ーー テーブルのロウ炭に火を燈し、母はリーンが今日までに稼いだ硬貨を並べた。 「銀貨が9枚、それに銅貨が26…合計で116Cか。うん、文句なしの合格だ」 母は満足そうに硬貨を小袋に戻すと話しを続ける。 「アンタはこの1年、本当によく頑張ったよ。母さんももう覚悟はできた、しっかりやっておいで!」 その言葉は、リーンの1年間の努力が実った瞬間だった。 「ありがとう母さん。僕、頑張って絶対立派なハンターになるよ」 リーンは自分の覚悟を再び宣言する 母との約束の為、自分の意思をもう一度固める為に。 「さて、と…やっぱり伝えておくべきだよね」 珍しく母が口ごもったので、リーンは妙に気になった。 「何の話?」 「父さんの話しさ」
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