プロローグ

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しばらく沈黙が続くと、続きが聞きたくてしょうがないリーンが口を開く。 「そ、それで?」 「それだけ」 「……………………へ?」 再び沈黙が流れ、今度は母から口を開いた。 「知らないんだよ。ハンターだったとは聞いてたけど、母さんと一緒になる前に引退したって聞いてたし、それなのに…」 そこまで言うと母の顔が急に暗くなる。 「…それなのに、急に『今は俺にしかできる人間がいないんだ』って言って出掛けたきり帰って来なかった。最初は別の街で他の女と暮らしてるんじゃないかって思いながら腹も立ててたんだけどね」 「…母さん?」 「ちょうどアンタが生まれて2年くらいかねぇ。そんなどこかで生きてて欲しいなんて希望は、狩猟協会の人が『勇敢な最後でした』なんて告げに来てあっさり消えちまったのは」 母の目からは涙が溢れていた。 必死で堪(こら)えようとすればするほど雫がテーブルに零(こぼ)れていく… リーンは母が泣くのを初めて見る。 きっと父が死んだと聞かされた日にはもっと泣いたのだろう…
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