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スプリングリット大陸にあるのどかな村グリーンベル
この大陸の端にある小さな村で物語は始まる。
ーー夕暮れ時。
村外れにある畑で撓(たわ)わに実ったチビムギの稲を刈る少年がいた。
「リーン!もうすぐ日が沈むから今日はここまでにしようか」
女性の声に反応して呼ばれた少年は作業を止めて夕陽の様澄んだオレンジ色の瞳を女性の方へ向ける。
「先に帰っててよ母さん。僕はもう少しやる事があるから」
リーンは服の裾で泥だらけの顔を拭くと、風が畑を吹き抜けて黄金色のリーンの髪がサラサラと稲穂と共に揺れる。
「ほら」
そう言って草刈り鎌を向けた先には畑から緑色の細長いツルが何本も頭を出していた。
「あちゃあ…嫌な時に生えてきちまったね」
寄生ツルはどこにでも生える雑草で土の栄養分をほとんど吸ってしまう厄介な存在である。
残しておいては明日収穫する分が売り物にならなくなってしまう。
「じゃあ先に夕飯の支度しておくけど、なるべく早く帰ってきなよ?」
母は少し心配そうな顔をしている…
最近はこの村も魔獣が増えてきて怪我をした村人も出ている、ただ1人の家族であるリーンを心配するのは当然だろう。
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