フリックロットへ

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昨日の事を思い返し戸惑っていると店主はリーンの荷物を勝手に物色し始めた。 「まぁ、事情が事情だししょうがねぇ。代金の替わりに物で勘弁してやる」 そう言いリーンの荷物を漁っているが、あまりめぼしい物は見当たらない。 「ちっ宿代になりそうな物は何も無いな。ん、なんだこりゃ?」 店主が手に取ったのはリーンがポーチに入れた覚えの無い物。 掌(てのひら)に納まる真四角の小さな入れ物で、リーンはこれをよく知っている。 丈夫な革の外装に、グリーンベルに昔から伝わる幸運の紋章である二つの鐘が実るように大きな木にぶら下がっている刺繍。 グリーンベルの名産品、幸運を呼ぶコインケースだった。
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