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しばらくして両手一杯に硬貨を持った店主が奥から戻って来ると、カウンターの上で種類別に並べていく。
「銀貨9枚に銅貨4枚。全部で94C、確認してくれ」
リーンが硬貨を数え終えると、ポーチにしまい宿を出た。
扉を開けると朝の日差しが広がり一瞬目の前が真っ白になる
それも直ぐに慣れると再び街道を歩き始めた。
ふと振り返り宿を見る。
設備が悪く食事も不味い、おまけに金まで盗まれた。
旅の始めとしては最悪と呼べる一日だった。
しかしリーンはそこまで悪い気分ではない…
人の悪意を感じたが、同時に母の慈愛(じあい)も感じることができた。
胸に押し当てたコインケースをしまうと、リーンは都市へ向けてまた歩き始める。
フリックロットはもう近い。
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