変わらない日常

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外はすでに明るい。 彼は外気を吸い、ため息をつくように息を吐く。 「つまんねぇ」 それがあの女への感想。 だから、次の約束なんてするはずもないし、名前すら記憶にとどめない。 彼はポケットを探り煙草を銜えると火をつけ歩き始めた。 車の多い通りまで行き、軽く手を上げタクシーを止める。 すると、その運転手はドアを開き営業用スマイルではなく、少し迷惑そうな顔をのぞかせた。 「すみません、お客さん。禁煙車なんですよ」 そんな台詞に彼は綺麗な顔を歪め、煙草を地面に落とすと踏みつけタクシーに乗り込んだ。 そして「どちらまで?」の声に行き先を告げ、シートに身体を預ける。 服に移ったのか、さっきの女の残り香が鼻をかすめ彼の顔を不快にゆがめる。 シャワーでも浴びてぇな。 そう思いつつ窓の外を見れば、まだ早朝の部類に入る時間だというのに日差しは強く、梅雨だというのに雲ひとつ見つけられない青空が目に入る。 それでもまだ梅雨は明けていないらしい事実をラジオのニュースが伝えていた。
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