壊れゆく日常

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駅から歩いて立派とはいえないアパートに帰ってきたのは9時を少し回った頃。 ヒナは父親とこのアパートに二人暮らし。母親は小さい頃に亡くしてしまったから。 カンカンと鳴り響く階段を上って、一番奥のドアの前で立ち止まる。 部屋にあかりは無くヒナは小さく息を吐いた。 「まだかぁ」 それなら晩御飯は簡単なものにしようか? おつまみも適当に。もしかしたら、今夜も飲んで帰るかもだからいらないかな? なんて思いながらカバンの中から鍵を探す。 鍵を開けて真っ暗な部屋に向かって「ただいま」と口にして、明かりをつけようとして――、 「やめろ! つけるなっ!!」 「きゃっ!」
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