壊れゆく日常

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「む、娘は関係な――」 「じゃ、とっとと金もってこい!!」 その一喝で父親の声は奇麗に消えさり、顔色すら失わせて。ヒナは震えだす唇を震える手で覆った。 「兄貴、サツが」 若い男が小さく耳打ちすると、スーツ姿の男も眉をピクリと動かし意識を外に向けた。 遠くパトカーのサイレンが聞こえ始め、段々と近づいてくるのが分かる。 恐らく、隣の住人か誰かがこの異常な物音に通報してくれたのだろう。 スーツ姿の男は「ちっ」と舌打ちすると、煙草を床に落とし踏みにじる。 「また来る。金、用意しとけよ、出来ねぇなら……」 男はヒナを一瞥し、気味の悪い笑みを浮かべ若い男たちを引き連れ部屋から出て行った。
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