夏はもうすぐ

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そんな台詞にひなは「そんなの……」と唇を尖らせた。 だって、『ヒロ君』だから。他の人ならきっと眠れない。彼の隣だからこそ、安心して眠ってしまったのに。 けれどその台詞が言えたのは途中まで。 目の前でヒロキがフッと笑ったから。 と言うのもあるけれど、その顔が無くなって目の中に飛び込んできた光景にヒナは息を呑んでしまったから。 海に沈んでいく太陽。 オレンジ色の光は海の波に乱反射して踊る。 太陽は半分以上沈み、紫黒の闇がオレンジの光を侵食してくる。 「うわぁ……」 どのくらい見とれていたのか。 あたりははすっかり闇に支配され、風も冷たさを纏い始めた。
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