夏はもうすぐ

8/16

23680人が本棚に入れています
本棚に追加
/922ページ
「そろそろ、降りろよ」 ヒロキにそう言われて、ヒナはやっと気が付いた。 ここは駐車場で、同じ敷地内にはホテルのような豪奢な建物。 ほんのり暖かいオレンジ色が窓から零れる。 お店らしきその建物の中ではお客がナイフとフォークを握り、ある人はグラスを掲げて。 「ヒナ」 「あ、うんっ」 ヒロキに促されるまま車を降りて、お店の入り口に。 空けられたドアから柔らかな光が零れる。店内は、薄暗く、天井からは高価そうなシャンデリア。 クラシックなテーブルやイス。 食器は、店内できらきらと光っていた。 どう見てもいつも行ってるファミレスなんかとは違って、自分には身分不相応な場所なのは一目瞭然。 だから、ヒナは入口で立ちつくしてしまった。
/922ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23680人が本棚に入れています
本棚に追加