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「そろそろ、降りろよ」
ヒロキにそう言われて、ヒナはやっと気が付いた。
ここは駐車場で、同じ敷地内にはホテルのような豪奢な建物。
ほんのり暖かいオレンジ色が窓から零れる。
お店らしきその建物の中ではお客がナイフとフォークを握り、ある人はグラスを掲げて。
「ヒナ」
「あ、うんっ」
ヒロキに促されるまま車を降りて、お店の入り口に。
空けられたドアから柔らかな光が零れる。店内は、薄暗く、天井からは高価そうなシャンデリア。
クラシックなテーブルやイス。
食器は、店内できらきらと光っていた。
どう見てもいつも行ってるファミレスなんかとは違って、自分には身分不相応な場所なのは一目瞭然。
だから、ヒナは入口で立ちつくしてしまった。
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