23702人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんか飲む? 俺、車だからアルコールはやめとくけど、ヒナは?」
その質問にヒナは首を横に。すると、彼はメニューを指差して「俺はこれを」と頼んで、
「ヒナは?」
見せられるメニュー。すぐに目に付いたのは『orange』という単語で。だから、
「じゃ、オレンジジュース」
そう答えると、ヒロキは噴出して、
「それでよろしく」
笑いを噛み殺してそうオーダーした。
「……ちょっと、ヒロ君」
「ん? なに?」
顔を赤くして不貞腐れるヒナの前で、ヒロキは未だ俯いて体を揺らす。
「もうっ! なんで笑ってるの!?」
ムッとするヒナに、ヒロキはなんとか笑いを噛み殺すと、前髪をサラリとかきあげる。
「悪ぃ、いや、変わんねぇって思っただけ。そんな大きな目で睨むなって、落ちるぞ?」
落ちませんっ!
そう言おうとしたのに、
「席、移動しようか?海の近く」
そんな台詞にヒナは「あ、うん」としか言えず、立ち上がる彼に慌てて同じように立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!