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「しかし、俺ってわかったならもっと早く声かけりゃよかったのに」
メインはラム肉のワイン煮。
とても柔らかく、ナイフに力は要らないくらい。
それを頬張ってゴクンと飲み込むとヒナは「だって」と返す。
「分かったの、今日だもん」
「マジで?」
ヒロキはナイフを持つ手の動きを止めて、向かいに座るひなの顔を覗き込んだ。
「なら、本も読んでねぇの?」
「あ、……うん」
聞いただけ。
なんとなく申し訳なくて、「ごめん」と言うとヒロキは軽く「いいよ、別に」と笑う。
「たいしたことじゃねぇし」
「そんなっ、凄いって! って、知らなかったあたしが言うのも変、だけど……」
小さくなっていく声にヒロキは「いいって」微笑んで。
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