夏はもうすぐ

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「じゃ、なんで?」 「あ、えとね、友達にヒロ君の載ってる雑誌を見せてもらって、似てるなぁって。でも、苗字違うし、同い年だと思ってたのに学年は2つも上だし……」 「苗字、変わってねぇよ」 クスリと笑って帰ってくる声に「えっ?」とヒナは声を上げた。 「だって、『大森』でしょ?」 「あれは母方」 そんな簡単な種明かしにひなは目をぱちくりさせて、手に持ったナイフを思わず落としてしまった。 食器にぶつかり響く不協和音。「ごっ、ごめん!」というヒナの声はヒロキのため息と重なって。 「残念、ヒナに名前を忘れられてるなんて思ってもみなかったな」
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