終焉世界のアリス

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* …ということがあり、白ウサギと共に旅をはじめた訳なのだが。 私は人の死体に異変がおきていることに気づいた。 死体から、木が生えているのだ。まるで、人を養分にして育つかのように。そしてその数々の先端にはぶどうのような実がなっている。 ただぶどうと違うのは、 「このぶどう、血みたいに赤い」 木を見下ろすように見つめて言うと、白ウサギは不思議な顔をして言った。 「当たり前じゃないか。ぶどうは血でできているんだ」 「………まずくないの?」 「純粋な心を持った人の実は甘くて美味しいんだ。僕たちはソレを食料にして生きている」 「ふーん…」 私はたいして興味がなかったので適当な返事をした。 「それなら私の実は苦いんだろうね」 「何をバカなことを!」 白ウサギの小さい体がピョンと飛び跳ねた。 「アリスほど純粋な子はいないよ。君の実は甘いにきまってる」 「……決まってるの?」 「決まってる」
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