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「ありがとう、圭司くん」
甘いケーキはとっても美味しくて、幸せな気持ちになる。
だけどそれは、ケーキが持ってる特別な魔法なんかじゃない。
圭司くんの不器用な優しさがいっぱい詰まっているからだ。
私も、圭司くんも、敢えて口にはしないけれど。
今日はきっと、私にこれを食べさせたくて、映画をやめて家に呼ぼうとしてくれていたんだ。
「圭司くん、大好きっ!」
「単純」
正直にぶつけた思いを、圭司くんはふっと微笑んで言う。
「俺も」とか、そういうのを期待してなかったといえば嘘になる。
でも、まあ、いいや。
ちゃんと大事にされてるって、伝わってくるから。
「えー、圭司くんも同じでしょ?」
「さあね」
友達も羨む年上の彼は、不器用で、言葉足らずで、意地悪で……
性格に少々難あり。
だけど、私は彼が大好きで。
彼も多分、私のことが大好きだ。
だってほら、私を見返す優しい目が近付いてくる。
この距離がなくなった時にいつも、私はその答えを知るのだから……
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