2128人が本棚に入れています
本棚に追加
「すーがーわっ!」
弾むような声に、しまったと思う。
ずっと逃げ回っていたのに、2日目にして捕まってしまった。
それでも、もった方だと思う。
「うるさい、黙れ」
溢れ出そうな溜め息を堪え、気にしていない風を装ってそうたしなめる。
昼休みを迎え、社員で賑わっている食堂。
束の間の休息も、騒がしい深田樹の登場で台無しだ。
「ちょっと、まだ何も言ってないっしょ」
向かいの席にすとんと腰を下ろして、深田は笑う。
「お前の言いたいことなんて、聞かなくても分かる」
分かっているからこそ、ずっと逃げていたんだから。
深田は十中八九、愛のことを問い詰める気だ。
最初のコメントを投稿しよう!