彼、少々難有りにつき。

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謝ってきても簡単には許してやんないんだから。 そう強く心に決めたのに、あれからメールの返信はなくて、もう放課後。 本当に体調が悪くて眠っているのかもしれない、と心配になる反面、それでも、ごめんの一言くらいあってもバチは当たらないんじゃないかって意固地になって、さっきからずっと私の心は忙しない。 「いい加減素直になって、会いに行っちゃえば?」 悶々とする私を横目に、理香ちゃんは呆れたように笑う。 「それが嫌なら、カラオケやめてやけ食いでもする?今日はとことん付き合ったげる」 唇を尖らせていると、澤ちゃんがいたずらっぽく笑ってみせた。 「太るー」なんて会話を弾ませながら、校門へ差し掛かる。 と、そこに横付けして停まる車にもたれ掛かって、タバコを吸う見慣れた姿を見つけた。 「け、圭司くん!?」 思わず立ち止まってそう叫ぶと、隣を歩いていた理香ちゃんと澤ちゃんも続いて足を止め、驚きながら交互に私たちの間に視線をさ迷わせた。
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