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「帰るぞ」
タバコを携帯灰皿へねじ込むと、気だるそうに細めた目で私を見下ろして、圭司くんは当たり前のように言う。
「メ、メール!したでしょ、今日は友達と……」
そこまで言うと、圭司くんはゆっくりと、鋭い視線を2人に向けた。
「返してもらってい?」
「ど、どどど、どーぞっ!!」
すると澤ちゃんは、まるで差し出すように私の背中を押した。
「ちょっ……、澤ちゃん!?理香ちゃん!」
助けを求めるように理香ちゃんに手を伸ばすと、私の手を取った理香ちゃんはにっこりと笑って、こっそりと耳打ちした。
「良かったね。彼氏さん、迎えに来てくれて」
それを言われてしまうと、じわじわと嬉しさが込み上げてきて、なんとも言えないくすぐったい気持ちになる。
「……っ、ありがと」
にやにやする2人に見送られながら、「ほってくぞ」と急かす圭司くんの元へと駆け寄った。
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