目覚めの時

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気が付くとそこに立っていた……。 記憶喪失だろうか。自分の名前すら思い出せない。 私以外の連中も同じなのだろうか。 みな、寡黙に押し黙ったまま茫然としている。 番号のついたネームプレートをつけられ、 綺麗に整列させられているところをみると、 何か悪いことをしでかした報いを受けているのだろうか。 青ざめた顔してる奴もいれば、 血の気のひいた白い顔の奴もいれば、 肝臓に疾患があるのか、病的に黄色い顔の奴もいた。 っう! 突然、頭の中に白い閃光が走り、 記憶がフラッシュバックする。 無骨で無機質な大きい部屋――実験施設内の無菌室のようなところで、 体中を好き勝手にいじられまくっている感覚が蘇る。 寒気と吐き気が同時に襲ってくる。 なんとおぞましい感覚だろうか。 時折、うっ!というくぐもった声がどこかであがる。 みなもフラッシュバックに苦しめられているのだろう。
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