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パシャ、パシャ
シトシトと降りやまない雨の中を私はパシャパシャと音を立てながら走っていた。
「あーもうっ、何で傘忘れるかなー!」
なんて文句を言っても仕方がないがこう雨に打たれているとつい愚痴が溢れてしまう。
いやだな、私……独り言なんて何処かのおばさんみたいだよ。
なんて、ご近所のおばさんが聞いたらさぞご立腹になるであろう。
「帰ったらまずはお風呂だなー…………あれ?」
ふと目に止まったのは大きな段ボール。
大きな…
否、かなり大きい段ボールに何故か私は目が離せなくなった。
何かが私を呼んでる―――
そんな衝動にかられたのだ。
「………何か気になるんだよね、と言うか誰よあんな大きな段ボール放置してるのは」
今日はゴミの日ではない、不法投棄するなよ。
なんて思いながらも段ボールのある場所へ歩み寄るとそれはゴミとして置かれている訳ではなかった。
「え……?」
そこには…段ボールの中にはなんと五匹の動物達がいた。
「わっ………猫と犬と兎と狐と狼かー…………って…はい?」
自分の発した言葉に疑問を持ち首を傾げること数秒――。
「あ、あれーおかしいなぁ―……猫ー犬ー兎―狐ー……き、狐!?狼!?」
え、意味分かんない、何これ!?
誰だよ捨てた奴、と言うか何この組み合わせ!?
「っ、と……そんな場合じゃないよ!」
雨のせいかぐったりしておりとても弱っているように見える動物達。
このままでは駄目だ…
「大変…!早く何とかしないと!」
――でも、連れて帰ってどうするの?
――元気になったらまた、捨てるの?
「…………誰がするもんか、そんな無責任なこと」
正直なとこ、この子達を連れて帰ったところで私が最後まで面倒見切れるのかとか…世話出来るのかとか…色々な思いが巡る。
でも――
「そんなの、決まってる……」
私は着ていた制服の上着やタオルを被せると必死になって段ボールを引き始めた
「私が………この子達の面倒を見る!」
家は幸いにも近く一本道だ、私は焦る気を静めながらずぶ濡れになっているのも忘れこの場を後にした
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