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「どうやって入ってきた」
「玄関から堂々と」
「鍵は?」
「超能力を使って」
「嘘つけ」
「ごめんちゃい」
「嘘をつく悪い子にはお仕置きだ」
「わ、私を裸にしてどーするつもりよ!」
「そんなつもりは微塵も無い」
「チキンな男は嫌われるぞー」
「引きこもりの女は軽蔑されるぞー」
「私の事かぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」
菜々は僕に殴りかかってきたが、それをスルリと避ける。
勢い余った菜々はそのまま居間に置いてあるソファに突っ込んだ。
突っ込んだ瞬間に「ゴキッ」と嫌な音がしたが、聞いていなかった事にした。
「さっさと社会貢献しろよ」
僕は自分の分のカレーをよそると、そそくさと二階の自分の部屋に逃げ込んだ。
食事はいつもの癖で自分の部屋でとる事にしている。流石に両親の前で食事をとるのはいささか厳しい。
まだ学校を辞めた訳ではないが、やはり親が僕を見る目が冷たい。
当たり前ですよね。だって引きこもりみたいなものですし。
僕みたいな人間はみんな口を揃えて「こんなはずでは」と言うが、僕は違う。
「望み通りだ」と胸をはって堂々と言える。
いや、胸をはって言う事じゃないんですけどね。
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