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オオカミが目の前にくると、さすがに気の強そうなカエルからも、
ジワッと妙な汗がでてきた。
カエルは「ええい、ままよ!」と覚悟したように、
モジモジしてるオオカミに向かって話しかけた。
「めえさんに、ふたつみっつ確認してえことがある」
「え、そんなに!?」
心配そうに見つめてくるオオカミを安心させるようにカエルは言った。
「で、でえじょうぶだよ。そんなに難しい質問じゃねえ」
オオカミはホッとしたようだった。質問に答えるのはあまり得意ではないらしい。
「まず第一に、めえさんは……オオカミだよな?」
オオカミにしてはやけにでっぱったオデコと、
ライオンのたてがみのようにフサフサした首周りの長い毛を眺めながらカエルは言った。
「は、はい。ボク、オオカミです。ゴン太っていいます」
「おう、ゴン太ってのか。道理でゴンゴンやかましいわけだ」
ゴン太は申し訳なさそうな顔をして、しょんぼりした。
「おっと、すまねえ」
カエルは、気をとりなすように慌てて自己紹介した。
「オレはデン助ってんだ。この沼地に住んでずいぶんになる」
「デン助さん?」
「おう、カエル相撲の世界じゃあ、そこそこ名は売れてる。
口喧嘩ならいっぺんも負けたことはねえ」
「へえ~! すごいなあ!」
オオカミに素直にすごいと言われて、まんざら悪い気もしなかったデン助。
だが、ふたつ目の質問を思い出して、ふと真剣な顔に戻る。
「オレの話は置いとくとして、でえじなのがふたつめの質問よ」
「は、はい!」
ゴン太も襟をただすように尾っぽをたたみ、しゃんと座りなおした。
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