へっぽこな出会い

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デン助がお手上げ状態となり、いよいよ身をもてあましかけたときだった。 ズドォーーンッ! 森のどこかで雷が落ちたような大きな音がした。 おなかに響くほどの大きな音だった。 森で暮らしてきたゴン太とデン助にはそれが銃声だとわかった。 春も間近のこの季節、まだ巣ごもりしているクマなどを狙って、森にやってくる密猟者がいるのだ。 ドキッとして泣きやんだゴン太と、思わず頭を伏せてしまったデン助が 緊張した面持ちで顔を見合わせていると、上空から奇妙な叫び声が聞こえてきた。 「ポッポッポーーッ!! どいてどいてどいてッポーッ!」 見ると、鳩が豆でっぽう食らったような顔をして真っ逆さまに落ちてくる。 「ゴンの字! あぶねえ!」 駆け寄るデン助。 ゴン太がとっさに頭を抱え込む。 フサッ! ポヨン! ペシャン! 鳩はゴン太のフサフサの首の毛の上に落ちて跳ね返り、 駆け寄ってきていたデン助の顔面にまともに転げ落ちた。 ゴン太は、豊かな首の毛のおかげでケガひとつなく平気だった。 しかし、鳩とその下のデン助は完全にのびきっていた。 ゴン太が鳩をそっとくわえてデン助の上から下ろし、デン助に呼びかけた。 「デン助さん! デン助さん! 起きてよ! それから、ええと、鳩さん! 大丈夫ですか!?」 「……ポ、ポッポ?」 まだ目は回っているようだったが、鳩の方が先に起き上がった。 やがて、ぐったりしていたデン助もゆっくりと体を起こした。 「デン助さん!? ああ、よかったあ!」 ゴン太は、ふたりとも無事なのを見て喜んだ。 鳩はもう完全に立ち直ったようで、ゴン太たちに話しかけてきた。 「ポッポッポッ、おやおやみなさん、これは一体どうしたことでしょう?」 「ど、どうしたもこうしたもねえだろうが! いきなり降ってきやがって!  わびのひとつも言えねえのかバーロー!」 クルクルと首を回してあたりをうかがっている鳩をにらみつけ、デン助が怒鳴った。 「ポッポッポッ、わびでございますか? これは失礼しましたクルポッポ」 「野郎ッ! バカにしてんのか!」 鳩の物言いがしゃくに障るのか、身を乗り出してさらに怒りをぶちまけようとするデン助。 それをゴン太が必死に押しとどめる。 「デン助さん! 落ち着いて~!」
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