第一死 旅は道連れ

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「そっちに行った」 「了解!」 深夜、満月の光が差す暗い森の中に二つの影 森の奥へ奥へ走り駆ける帽子を被った金髪の青年の姿。その右手には、月明かりに反射して鈍く光る片手剣が握られている。 「右斜め上37°の方向」 木の上に登り、敵の居場所を教えるナビゲーター役の僕、ラルことツァイハ・ラル・イーア。アッシュグレイの髪は今日も右目を隠している。 僕の指示に従い教えられた方向に飛び上がる相方、セケイ・シーレン。 「これでどう?金麟(こんりん)」 剣から金色に輝くオーラが放たれると、高熱を発しながら麒麟(きりん)の形を取り、魔物を貫いてく。麒麟が消えた後、魔物は跡形もなく灰になった。 木の上から降り、周囲に魔物の気配がしないことを確認し森から出るよう促した。僕達は“漆羽(うるしばね)”というチーム名で組んでいる正潔(せいけつ)屋。 ───正潔屋とは、正義のために戦うべし。罪を犯すものならば、己の罪を受け入れ死神に魂を持って行かれないよう執着せず、潔く命を差し出すべし。国から任務が下ったときはそれに従うべし。 命をかけ正義のために戦い、国から要請があれば応える…騎士にも似た職業である。
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