第一死 旅は道連れ

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翌日、小鳥がさえずる森を歩く。平和だと癒されつつ森を抜け、すぐ近くの桟橋を渡ると神隠しが起こっている例の町が見えてきた。 賑やかで楽しそうだが何処か表情は暗く、無理に笑っているという印象を受ける。まずは情報収集してこいと命令すると、セケイは話しやすそうな人を探す。 「えーっと…あっ、そこのお姉さんちょっといい?」 声をかけたのは40代くらいのオバサン。肉付きがよく全体的に少し丸いが素敵な笑顔だ。 「ちょーっと聞きたいことがあるんだけど…いいかな?」 「見ない顔だねー。で、お姉さんに何が聞きたいんだい。スリーサイズ?」 「それはまた今度ゆっくり教えてよ。この辺りで神隠しが起こってるって聞いたんだけど」 神隠しという言葉が出た瞬間オバサンの笑顔が消える。セケイに顔を近付け何者だいと怖い顔で言われるが、正潔屋と答えるとああ、と納得しまたかいと顔をする。 すると悪いことは言わないから関わるなと忠告される。そこをなんとかと必死にお願いすると、仕方ないねとオバサンが折れた。 「始まりは二ヶ月前かね。突然屋敷に住む人達がみーんな居なくなっちまったんだよ。何かあったのかと様子を見に行った男衆が何時まで経っても帰ってこなくてね。どうしようかと途方に暮れていたとき、あんたらと同じ正潔屋がたまたま通り掛かってさ。 あの屋敷から誰も帰ってこないんですって話したら様子を見に行きますと行ってくれてさ。正潔屋なら安心だと喜んでいたんだけど…」 「戻ってこなかった」 「そうなのよ…。もう怖くて怖くて今じゃ神隠しだとか皆言って屋敷に近寄らなくなっちまった」 ブルブル震えるオバサンにありがとう助かったとお礼を言い僕の元へ戻って来た。オバサンから聞いた情報を聞き、実際に見に行くと意見が一致し、目的の屋敷へ向かった。
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