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「おいおいキリ、大丈夫か?」
「げほっ!なんら問題ない!ここで付いていけなければ死んだ方がマシだ!げほっ!」
「はっはっ…暑いことで」
ジャンはまだまだ余裕そうだ
「ぜぇっぜぇっぜぇっ…」
ヨミはとうに限界を越えているようだ
すでに意識は朦朧としており、目は焦点が合っていない
それでも付いていくのは
キリに対する強い信頼とハインに対する対抗心である
教官であり隊長でもあるハインはトラックのスタート地点で彼らを見ている
彼らがスタート地点を通過したとき
「ラスト一周だ!上位の者には評価点をやろう!」
ピーーーッ!!!!
と笛が鳴る
「へへっこりゃもらいだな」
ジャンが嬉しそうな顔で呟く
「じゃあなっ1位はもらった」
そう言って更にスピードを上げて一気に全員を引き離すジャン
他の小隊の隊員もスピードをあげるが、ジャンにはついていけない
「……………」
するとジャンの2メートルうしろまでに1人の隊員が追い付いてくる
「まじかよ……ギル」
ギルであった
「はっやるじゃねぇか」
すでにジャンとギルはトラックの1/4まできていた
「…評価点…ぜぇっ…ぜぇっ…ハイン隊長の…評価点!!!」
かなり離されていたキリが突然生き返ったようにスピードを上げる
「げほっげほっ!おぇっ!ぜぇっぜぇっぜぇっ!キリちゃん…うおおおおっっっ!!!!!」
それを見たヨミが今までにないほどスピードを上げる
キリとヨミはペースの落ちた隊員を次々に追い抜き
前にはジャンとギル、そしてもうひとり、カインという第6小隊の隊長がいた
しかしすぐにキリは同列まで追い付き、そして抜いた
そのあとヨミも同じく追い付く
トラックの3/4を過ぎたとき
すでに先頭集団は第1小隊だけだった
ジャンのすぐうしろにギル
その5メートルうしろにキリ。
そしてその3メートルうしろにヨミが迫っていた
しかしジャンとギルはダッシュによりかなり体力を消耗し、スピードが落ちていた
反面、キリとヨミのスピードはどんどん上昇していた
「ふふっ…あいつら、やるじゃないか」
それをみていたハインは呟く
「すごいですね第1小隊…あのジャンとギルもすごいですけど…キリとヨミの兄弟…あそこから上げるなんて、かなり精神力がありますね」
横にいた教官、スミスも第1小隊を見つめる
「「うおおおおぉぉっっっ!!!」」
キリとヨミがさらにスピードを上げる
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