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ー青
ふたり並んで歩く帰り道。
僕より少し上にある顔見上げたら、柔らかく微笑んで優しく頭撫でられた。
「……何なん?」
嬉しいけど恥ずかしくて、少しぶっきらぼうに問う僕に
「何も。ただ、嬉しいなぁと思って
」
僕を撫でる手はそのままに、歩く歩調が緩やかになる。
「何が?」
やっぱり顔見上げたまま一言だけ返す僕に
「こうして一緒に居れる事が、一緒に笑える事が。俺に向かって笑ってくれる事が、嬉しい」
僕を見つめる瞳が優しく揺れて、その中に僕の顔 映し出すから
「そんなん、当たり前やし…」
泣きそうになって、ごまかす様に俯いた。
「せやね。これからも当たり前って思えるくらい一緒におってな?」
んふって含み笑いした後、ちょっと真面目なトーンで言うから、未だに僕の頭の上にある その大きな手をそっと取ってギュッと力込めて握ってみる。
「それこそ当たり前や」
当たり前が僕らの約束やね。
End
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