不安と哀しみ

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しがみついとった躰を離したら、抱き締める腕と撫でる手は そのままに 「ちょっとは落ち着いたか?」 って、顔覗き込んで聞いてくる。 コクン 首だけで 頷いて返事したら 「ん、ええ子や。ほら、そんなに泣くから目 腫れたやろ」 目許に そっと口づけくれる。 「で、何があった?」 訊ねるその瞳の優しさに、思わず俯いたら 頬に手を添えられて上を向かされた。 「ちゃんと言うてくれなわからへん。俺、何か やらかしたか?」 眉 八の字にして情けない顔するから 「ちゃうよ、アンタは何にもしてへんから」 そんな顔、せんといて…
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