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焼却炉の中で燃え尽きた私の体はホルマリンよりも柔らかで暖かな何かに包まれていた 瞳を無くした私に確かめる術はないけれど、私はこの感覚を知っている ふわりと入り込む風に抱かれると、まるで澄んだ浅い海に沈んでいくような気分になった 知る筈のない女性の微笑みが、泣きそうな程、切なかった 夏の匂いのする夜風が私たちを包んでくれた
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