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「―――……一体何の用だ、アゼル。」
しかめっ面のメイフィルに対し、アゼルはニコニコと答えた。
「今日は特別な日ですからね!アゼルはいてもたってもいられなくて、参上した次第でございます!」
「それじゃ分からん」
む、と更にメイフィルの額には青筋が浮かぶ。
それもそのはずである。彼は寝起きが決して良くはない。昨夜も遅くまで研究・開発をしていたので、寝不足なのだ。
そんな時にハイテンションに付き合え、というのは無理な話なのである。
「何の用もなく来た訳ではないのは分かるが、――――ああ、すまん――――俺様には特別な日ではないことは確かだな。」
ハジメがメイフィルに朝飯、アゼルの前にコーヒーを置く。
メイフィルはそれに軽く礼を言って、食べ始めながら答えた。
――――が、目の前のアゼルの顔を見て噴き出した。
「――――な、何て顔してるんだっ!?怪談話に出そうな顔してるぞ!?」
「だって、だって!メイフィル様が自分に関係ない、なんて言うから…っ!!」
アゼルは悲愴な表情を両手で隠すようにわっと泣き出す(真似をする)。
メイフィルは今日が何の日か、眉間にしわを寄せながら考えるが、思い浮かばない。
「――――…フィル、今日は何日だ?」
「え?9月24日だな。」
「――――…お前の、誕生日は?」
「え……9月24日……。
―――――…あ。」
助け舟のハジメの言葉で、合点がいったようでメイフィルは手をポン、と叩いた。
表情は明らかに「忘れていた」というのを物語っている。
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