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「はあっ、はあっ、…っく!」
『あはははははハ!』
漸く建物に隠れられた。
それでも近くで狂った笑い声をだす少女達――いや、悪魔達がそこら中を虱潰しに壊して回っているのが聞こえる。
「嫌ああぁ!」
「うわあああ!」
また、人が殺された。
思わず耳を両手で塞ぎそうになるが、そんなことをしたらいざというときに動けない。
『あれぇ? こんな所デなにしてるノ?』
「え? あがっ!!」
奴らは少女の姿だが、とてつもない力を持っている。
「あ、あっ、ふぅ…!!」
今だって特別なことはされていない。
只、殴られただけ。
確実に左腕と肋骨が折れた。
殴られた衝撃で脆くなった建物の壁を破り、裏側へ出ることが出来た。
とにかく此処をでなきゃならない。
呼吸するだけで激痛が走る。
「こんなのだって、邪魔だ!!」
気休めに持っていた銃を捨てる。
奴らにはどんな武器も効かず、軍隊もいたが1時間保たなかった。
必死で走る。
走る。 走る。 走る。
頬に水が落ちた。
「まだ、涙なんて出たのか…。」
痛みからじゃない。
憎しみなのか、寂しさなのか、僕には分からない。
ただ、ただ、
平凡な世界に戻りたい。
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