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走る間にもいくつも無惨な死体が転がっていた。
人間の面影のあるものなど一つとしてなく、全て真っ赤な塊と化していた。
『ふふふふフ。 まだどこカに居るのー?』
「っ!!」
少女が、悪魔が歩いていた。
顔や身体は赤黒く染まり、大きな目は更に見開かれ、しきりに首を振っている。
そして、手には、人間の"腕"があった。
「うっ、おえ゙っ、ゴホッ! くそっ!」
立ち上がろうとすると透き通った声が耳を刺激する。
「大丈夫、ですか?」
いつの間にか同い年くらいの、奴らそっくりな女の子がいた。
僕は驚いて声も出なかった。
声をかけられること自体が久し振りすぎたのもあっただろう。
だが何よりもその容姿に息を呑んだ。
「あの?」
少女は僕の顔をのぞき込んでくる。
その子の目は銀色で、髪は見たこともないほどに白く、周りの景色から逸脱したような肌は白く透き通っていた。
まるで、そう
神様の人形のように美しかった。
「あの? 大丈夫?」
「え? あ、うん、大丈、っつ。」
そう言えば左腕と肋骨が折れていた。
「けが?」
「あ、大丈夫だよ。それより早く逃げなきゃ…ってどうしたの?」
少女は僕の左腕に口付けをしていた。
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