三御題

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走る間にもいくつも無惨な死体が転がっていた。 人間の面影のあるものなど一つとしてなく、全て真っ赤な塊と化していた。 『ふふふふフ。 まだどこカに居るのー?』 「っ!!」 少女が、悪魔が歩いていた。 顔や身体は赤黒く染まり、大きな目は更に見開かれ、しきりに首を振っている。 そして、手には、人間の"腕"があった。 「うっ、おえ゙っ、ゴホッ! くそっ!」 立ち上がろうとすると透き通った声が耳を刺激する。 「大丈夫、ですか?」 いつの間にか同い年くらいの、奴らそっくりな女の子がいた。 僕は驚いて声も出なかった。 声をかけられること自体が久し振りすぎたのもあっただろう。 だが何よりもその容姿に息を呑んだ。 「あの?」 少女は僕の顔をのぞき込んでくる。 その子の目は銀色で、髪は見たこともないほどに白く、周りの景色から逸脱したような肌は白く透き通っていた。 まるで、そう 神様の人形のように美しかった。 「あの? 大丈夫?」 「え? あ、うん、大丈、っつ。」 そう言えば左腕と肋骨が折れていた。 「けが?」 「あ、大丈夫だよ。それより早く逃げなきゃ…ってどうしたの?」 少女は僕の左腕に口付けをしていた。
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