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断末魔。
死を、破壊を呼ぶ者達の断末魔が耳をつんざく。
白い彼女は僕を護るように立っていた。
「わたしは、リリィ。
この時の為に造られた存在。
あなたは?」
こちらを向いた彼女の背後には6枚の翼と12本の剣が浮いていた。
「僕は、ギル。」
「ギル、わたしは、あの悪魔を――平和な世界を取り戻すための力を持ってる。」
彼女は、リリィは少し雰囲気が変わった。
ただ美しいのではなく、なにか哀しい一面が垣間見える、そんな感じだった。
「あなたはどうする?」
どうするか。
つまり、戦うか、今までのように死に怯えながら逃げ回るか。
僕の願いを叶えるために用意された選択肢は1つだけだった。
「君を独りで戦わせなんかしない。
僕も行くよ。」
言いながら僕は彼女を抱き締めた。
それに応えるように彼女の腕にも力が入る。
僕の力なんてたかが知れている。
足手まといになるかも知れない。
それでも、この混沌とした世界が平凡に戻った時には、きっと、君と2人でその世界を見るんだ。
例え君が人でなくたっていい。
僕にとって、愛おしい君であることに変わりはないから。
Fin...
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