三御題

5/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
断末魔。 死を、破壊を呼ぶ者達の断末魔が耳をつんざく。 白い彼女は僕を護るように立っていた。 「わたしは、リリィ。 この時の為に造られた存在。 あなたは?」 こちらを向いた彼女の背後には6枚の翼と12本の剣が浮いていた。 「僕は、ギル。」 「ギル、わたしは、あの悪魔を――平和な世界を取り戻すための力を持ってる。」 彼女は、リリィは少し雰囲気が変わった。 ただ美しいのではなく、なにか哀しい一面が垣間見える、そんな感じだった。 「あなたはどうする?」 どうするか。 つまり、戦うか、今までのように死に怯えながら逃げ回るか。 僕の願いを叶えるために用意された選択肢は1つだけだった。 「君を独りで戦わせなんかしない。 僕も行くよ。」 言いながら僕は彼女を抱き締めた。 それに応えるように彼女の腕にも力が入る。 僕の力なんてたかが知れている。 足手まといになるかも知れない。 それでも、この混沌とした世界が平凡に戻った時には、きっと、君と2人でその世界を見るんだ。 例え君が人でなくたっていい。 僕にとって、愛おしい君であることに変わりはないから。 Fin...
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!