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「遅いよ、啓太」
川原建設に着くとそこに居たのは拘束されている筈の幼なじみだった。
「……かんな?」
聞き飽きるほど聞いてきたかんなの声なのに違和感が拭えない頭にノイズが走る。
目眩に揺れる頭が捉えたかんなは画質の悪い動画のように時折砂嵐が入る。
途端にかんなの姿が崩れ落ちた。
「遅かったね、佐々木啓太」
かんなが居なくなった後には白髪に灰色の眼の酷く厨二なお子様がいた。
「……、誰?」
「いやー、流石だね僕のフェイクを見破れるなんて!」
「いや、だからあんた誰!?」
「あ、名乗り遅れたけど僕は真河一海、君と同じだよ」
にやりと浮かべた笑みは何処か無気味さがあり、子供の物とは思えなかった。
「……からかってるのぼく?」悪戯した子供に問いかけてやるように聞くと一海はからかってないよと一言って「人の行動とか読めるでしょ?」と付け足した。
「実は僕も読めたりするんだよね」
銀の前髪をくるくると弄りながら話した。
言葉に嘘は感じ取れない。
(そういえばさっきからコイツと喋ってるけれど、読みとれない)
「僕の心が読み取れないって思ってるでしょ?」
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