第1章

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「ちくしょー。鉄パイプなんかで本気で殴りやがって……いってぇな」  額に手をあてながら工場跡を少し行ったところの暗い路地裏を歩いている少年。  黒く少し伸びたくせっ毛で少しつり上がった目をしている。 「あーくっそ。まーた制服汚しちまったよ。おっちゃんにまたドヤされる」  額を押さえてる方とは逆側の手で頭をかきながらぶつくさ言いながら歩いている少年  冬の寒さも和らいで比較的過ごしやすくなった季節の夜風に髪が靡く。  その後ろの工場跡には色とりどりの髪をした不良達が月明かりに真っ赤な液体を照らしながら寝ている。  一般人が見れば泣き叫びたくなる光景だがそんなことには目もくれず(というか自分でやったのだが)そのままにして裏道を歩いている  それから十数分歩き続けると目の前に現れたのは少し大きなコンクリート造りの家だった。  入り口には「あさがお児童養護施設 」と書かれていた。  その奥の玄関の前には遠くからでもわかるほど怒気に満ちた男の姿が一つ。少年のなかで恐怖心が膨れ上がった。  反転してどこかへ逃げていきたい気持ちをなんとか抑え重い足取りで中へ入っていくと玄関の前には白髪を綺麗に揃えた筋肉隆々の男がこめかみをピくつかせ立っていた。  辺りが暗いせいで目元が見えないことが余計に恐怖心を煽る。
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