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「じゃー修平もママのお腹にいたの?」
「そう。」
「じゃーパパも…おばあちゃんのお腹にいたの?」
「そう…」
「じゃー新町じーじも、ちょきちょきばあちゃんのお腹にいたの?」
「そう…」
「じゃーおばあちゃんは?」
「ここちゃんのお家の、のんのんばあちゃんのお腹にいたのよ。」
のんのんとは、仏壇の前で手を合わせる時に
元をたどると
南無南無ーとか言うのが砕けた幼児言葉らしい。
俺も小春も無宗教で関心が無いし
親父たちも木崎先生たちも
全く関心が無い。
適当に便利なのでこの言葉を使ってるが、
無宗教なのは…職業柄かも…知れないな…と思う。
お袋も咲子さんもそうやって言うので、
多分…この辺の方言なんだと思う。
死んだ人と説明するよりも、何だか優しげなので
俺も自分の亡くなったおじいちゃんおばあちゃんの話を
修平に聞かせる時は使ってる。
その会話で、きっといろんなシナプスが繋がったんだろう。
修平は来たときと目の輝きを変え、
「すごいねー。」って言いながら
自分のお腹をめくりあげておへそを見つめ、
「僕のお腹の中にも…赤ちゃん入んないかなぁ…」って
しみじみ言っていたら、
「修平にはなぁー…」って
木崎先生が余計な事を言いだしそうだったので、
「残念だけど…それは無理なの。」って
咲子さんが先手を打っていた。
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