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「隆は…なかなか結婚しなさそう。」
早瀬のおじさんにボソッと核心を突かれる。
「俺はどうせ兄貴みたいにモテません。」
皮肉の一つくらい言わせてくれよ。
「だね。でも、隆の初恋は…美佳子だったもんな…
見る目はあると…思うけど…な。」
遠い目をしながら空を見上げている早瀬のおじさんの一言で、
幼いころ…大好きだったこっちゃんの母親を思い出す。
真剣に…この人と結婚したいってガキのくせに思ったっけ…
今でも…どこかあんな雰囲気の人がいたらいいなってくらい、
影響を与えている人。
まだ…美佳子さんみたいな人には出会えてはいない。
「え?そうだったの?」
早瀬のおじさんの隣にいたこっちゃんは目を丸くしてたが、
早瀬のおじさんにも親父にもお袋にも…
そして、親父の同僚の木崎先生にも見透かされていた気持ちを知らなかったなんて…
さすがだな…って思う。
なら…兄貴の気持ちに気づかなくても当然っていえば当然か…
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