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途端、自分に崩れ落ちてきた彼を抱きしめ、金 時は嬉しそうに笑う。
自分にはない体温を、感じている。
からくりの自分が暖かさを感じるなんてことは出来るはずがないのに、そんなことを思ってしまう自分を嘲た。
「すき」
この感情だけは銀 時と一緒に決まってる。
だって俺は、銀 時の完全体なんだから。
俺は皆に慕われてる。
俺は皆に好かれてる。
俺は皆より優れてる。
手に入らないものなんてない。
俺は銀 時なんかより、お前が好きだよ。
「…ん」
抱き締めていた体がピクリと動いた。
「…金、…時」
掠れた声が耳元に聞こえ。
その声が自分の名を呼んだことに、またうれしくなる。
「起きたか?」
「…ああ」
目を擦りながら体を離そうとする土 方の手を引き、また強く抱き締めた。
「オイ…、俺ァ仕事が…」
「分かってるよ。ちょいと充電」
ぎゅうと抱きすくめて、土 方の肩口に顔を埋め。
やっと。
やっとこれで俺は、全てを手に入れた。
不完全なお前の代わりに、完璧な俺が、コイツを幸せにするよ。
銀色の鈍い光なんかじゃ、コイツは照らせない。金色の目映い光で、俺が土 方を守る。
だからお前は要らねぇよ。
可哀想な、俺の兄弟。
To be continue...
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