きんいろ

3/6
前へ
/84ページ
次へ
「ちょ…、オイ」 「ん?なーに?」 路地裏の隙間から差した日の光に、目の前で揺れる金髪が輝く。 「やめろ、ンな所で盛ってんじゃねぇよ」 自分の首筋に顔を埋める男の髪を触ると、耳元で男が笑った。 「ハイハイ、ごめんって。最近お前に会えなかったから、さすがに俺も寂しかったんだ。…なあ、今日の夜、来る?」 男の胸を押して向かい合うと、綺麗な碧の瞳が俺を捉え。 俺が問い掛けに頷けば、男はうれしそうに目を細めた。 「じゃあ、今はこれだけで我慢しとくな」 「ちょ…っ」 後ろ髪を優しく掴まれ引き寄せられれば、唇に柔らかい感触。 「んン…、っは」 突然の口づけに早くも息が上がった俺は、男の肩を叩く。 素直に離れた男はもう一度微笑むと、「また夜に、な?」と片手を上げて、路地裏を出て行った。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加