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「土 方!」
「お前、なに副 長を気安く呼んでんだ!!」
「てめハゲ!離せハゲ!」
「ハゲじゃねぇ坊主だ!」
顔を出せば、ちょうど門の辺りで原 田が銀 髪を押さえ込んでいるところだった。
「原 田、そいつは俺がやるから、てめーは巡回に戻れ」
「あ、副 長!ありがとうございます!」
「おお。わりぃな」
銀 髪はすたすたと歩き出す原 田にべーっと舌を出すと、気怠そうに頭を掻きながら俺を見た。
「ったくよぉ、皆さん揃って俺にドッキリ仕掛ける気?銀 さんそろそろ疲れたんですけど?」
「名前は?」
「え?」
「アンタの名前と住所」
俺が言葉を発した途端、深紅の瞳が見開かれた。
「……オメーもかよ」
ぼそり、呟かれた声に、今更ながら気付いてしまう。
金 時と一緒だと。
着物の着方も似ている。
違うのは銀 髪の天然パーマと紅い瞳。
「……俺は坂 田 銀 時。お前の、恋人だよ」
──…脳裏に過ぎる、鈍い光。そしてそれを掻き消す、目映い光。
「土 方。俺がオメーの恋人なんだって」
金色が支配する脳内で、注いでは消される銀色。
「好きだ、土 方」
なぜか俺の中で、『早く銀色をみたい』という思いが募り始めた。
つめたい金色じゃない、あたたかいあたたかい銀色に早く包まれたくて。
「早く思い出してくれ……、頼むから」
苦しそうな表情と声が聴こえて、次の瞬間俺は、銀 髪に抱き締められていた。
──あたたかい、銀色に。
To be continue...
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