第一章 ストーカーにご用心

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 そう言って、棚橋はA4サイズの紙を美菜に渡しました。 「試用期間は今日の日付から2週間の間です。その間に紛失したり、壊しちゃったりした場合は、当社に連絡ください。新しいのと交換してあげます。代金の方は、サービスなので一切いりません。ただし――」 「ただし?」 「試用期間中に何も起こらないときは、書類を送りますので、その日までに、ここに書かれている金額を、銀行の口座に払っていただけるよう、お願いします」  どうしてそんなことを、と美菜は思ったが口にはしませんでした。その理由は、何となくわかったからです。 「理解いただけましたら、下の署名欄にサインを入れてください」  美菜は言われたとおりにサインをしました。 「結構です。これでこの品は、あなたのものになりました」
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